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お家へレッツゴー
「すみません、お手数おかけしました。では。」
蓮也のマネージャーであろう人が、私に言う。
(大丈夫かな…。私に出来ることはないけど、心配だな…。のんびり系で売り出してても、実際はそんなのんびりって感じでもないもんな…。仕事も忙しそうだし…。)
考えながらカフェに戻る途中。
ピコピコッ♪
私のLINEが鳴った。
蓮也からだ。
先日一緒に散策した際に、蓮也に連絡先を教えてほしいと頼まれ、またもや断れなかったのだ
[リサさん、今日はありがと。
今日からちょっとだけお休みもらえることになったから、休みます。]
内容を見て安心する。
それから店長に紙袋を渡し、今日蓮也が倒れたことを話した。
すると店長が、
「あら、でも蓮也くん、一人暮らしでしょ?大丈夫かしら?うちの従兄弟がマネージャーなんだけどね、話を聞く限り蓮也くん、どうやら自炊あんまり得意ではなさそうなのよね。ご実家は九州の方らしいし、家政婦さんとか頼むのも嫌なんじゃないかしら。………つまり私の出番かしら?!」
行く気満々の店長だが、マネージャーから蓮也の家の住所を教えてもらうなんてことは、さすがの店長でも無理だろう。
(でも、一人暮らしで自炊苦手って…。仕方ない…。)
私は蓮也に返信をした。
[お休みもらえるなら良かった。
よかったら、ご飯でも作りに行く?]
返信は早かった。
[ありがとう!お願いします!]
そして住所が送られてきた。
(早っ!)
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バイト終わりに食材を買い、
送られてきた住所に来てみたものの…
いざ来るとなんだかソワソワしてしまう。
(蓮也くんが熱に苦しんでるかもしれないし…ここで立ち止まってる暇はない…!)
ピンポーン
『はーい』
「さ、坂谷リサです!」
『リサさん!ほんとに来てくれたんだ!』
そうしてオートロックのマンションの扉が開く。
エレベーターに乗り、緊張しながら、歩く。
部屋の前まで来て、突然ドアが開き、
「リサさん!入って入ってー!」
と、蓮也が出迎えてくれた。
日中倒れてたときよりも調子が良さそうだ。
「熱冷ましとか色々薬飲んだから、かなり楽になったんだ〜。」
「そっかそっか、良かった。でもまだ体調悪いだろうから、今からお粥作るの食べてね。」
「うん、ありがと〜。」
「その間寝ててね。」
「はーい。」
そうしてすぐ、蓮也から寝息が聞こえる。
本当に体調が辛かったのだろう。
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「お粥できた。けど、起こすの可哀そうだからこのまま立ち去るか…。」
そう小声でリサがつぶやいた時…
「起きた〜!」
と蓮也の声が聞こえた。
結構地獄耳らしい。
蓮也を起こすのを手伝いお粥を食べさせた後、
体拭く用のタオルを持ってきた。
「ここに置いておくね。」
「むり〜、拭いて〜。」
「何子どもみたいなこと言って…」
その時リサの腕は蓮也に引かれ、
バランスを崩し、今蓮也の腕の中にいる。
「熱があるのに、ふざけてるの?
それとも寝ぼけてるの?」
「ちがう、ちゃんと意識ある。」
意識あるのは当たり前だ…。
「離して、ちゃんと安静にして寝て…」
話している途中なのに、蓮也にキスされた。
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