お家へレッツゴー

1/1

55人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ

お家へレッツゴー

「すみません、お手数おかけしました。では。」 蓮也のマネージャーであろう人が、私に言う。 (大丈夫かな…。私に出来ることはないけど、心配だな…。のんびり系で売り出してても、実際はそんなのんびりって感じでもないもんな…。仕事も忙しそうだし…。) 考えながらカフェに戻る途中。 ピコピコッ♪ 私のLINEが鳴った。 蓮也からだ。 先日一緒に散策した際に、蓮也に連絡先を教えてほしいと頼まれ、またもや断れなかったのだ [リサさん、今日はありがと。 今日からちょっとだけお休みもらえることになったから、休みます。] 内容を見て安心する。 それから店長に紙袋を渡し、今日蓮也が倒れたことを話した。 すると店長が、 「あら、でも蓮也くん、一人暮らしでしょ?大丈夫かしら?うちの従兄弟がマネージャーなんだけどね、話を聞く限り蓮也くん、どうやら自炊あんまり得意ではなさそうなのよね。ご実家は九州の方らしいし、家政婦さんとか頼むのも嫌なんじゃないかしら。………つまり私の出番かしら?!」 行く気満々の店長だが、マネージャーから蓮也の家の住所を教えてもらうなんてことは、さすがの店長でも無理だろう。 (でも、一人暮らしで自炊苦手って…。仕方ない…。) 私は蓮也に返信をした。 [お休みもらえるなら良かった。 よかったら、ご飯でも作りに行く?] 返信は早かった。 [ありがとう!お願いします!] そして住所が送られてきた。 (早っ!) ------------------------------------------ バイト終わりに食材を買い、 送られてきた住所に来てみたものの… いざ来るとなんだかソワソワしてしまう。 (蓮也くんが熱に苦しんでるかもしれないし…ここで立ち止まってる暇はない…!) ピンポーン 『はーい』 「さ、坂谷リサです!」 『リサさん!ほんとに来てくれたんだ!』 そうしてオートロックのマンションの扉が開く。 エレベーターに乗り、緊張しながら、歩く。 部屋の前まで来て、突然ドアが開き、 「リサさん!入って入ってー!」 と、蓮也が出迎えてくれた。 日中倒れてたときよりも調子が良さそうだ。 「熱冷ましとか色々薬飲んだから、かなり楽になったんだ〜。」 「そっかそっか、良かった。でもまだ体調悪いだろうから、今からお粥作るの食べてね。」 「うん、ありがと〜。」 「その間寝ててね。」 「はーい。」 そうしてすぐ、蓮也から寝息が聞こえる。 本当に体調が辛かったのだろう。 ------------------------------------------ 「お粥できた。けど、起こすの可哀そうだからこのまま立ち去るか…。」 そう小声でリサがつぶやいた時… 「起きた〜!」 と蓮也の声が聞こえた。 結構地獄耳らしい。 蓮也を起こすのを手伝いお粥を食べさせた後、 体拭く用のタオルを持ってきた。 「ここに置いておくね。」 「むり〜、拭いて〜。」 「何子どもみたいなこと言って…」 その時リサの腕は蓮也に引かれ、 バランスを崩し、今蓮也の腕の中にいる。 「熱があるのに、ふざけてるの? それとも寝ぼけてるの?」 「ちがう、ちゃんと意識ある。」 意識あるのは当たり前だ…。 「離して、ちゃんと安静にして寝て…」 話している途中なのに、蓮也にキスされた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加