アルバイト初日

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アルバイト初日

平凡な容姿、平凡な能力、平凡な性格、 そう自負している私。 坂谷リサ。32歳。 夫と、4歳になる息子のハルがいる。 ごく平凡な家庭で、今は幸せに暮らしている。 夫は坂谷リョウ。34歳。 優しく、真面目で、誠実な印象の良き夫である。 上場企業に勤めており、国内・海外問わず出張が多く、まさにできるサラリーマンという感じだ。 平日はできるだけ家事をしてくれるし、休日は家族3人で子供が遊べるところへ連れてってくれる。 子育ても二人三脚でがんばってくれているから、夫には毎日、とても感謝していた。 ------------------------------------------ 今日はアルバイトの初出勤日。 夫に相談し、子供が幼稚園に入れるタイミングで カフェでアルバイトすることになったのだ。 「子育て中のブランクがありますが、 精一杯がんばりますので、よろしくお願いします!」 久しぶりの社会復帰で緊張していたので、かなり大きめの声で言ってしまった…恥ずかしい。 「一緒にがんばりましょうね。 分からないことがあったら何でも聞いてちょうだい!」 独特な口調だが、心強い言葉をくれたのは店長の真岡さんだ。 真岡さんはこのカフェの看板店長でイケメン、さらに子育てに理解があるようで、子供に何かあったらすぐ言ってね、と言ってもらえた。 ちなみに真岡さんの恋愛対象は男性である。 そしてもう一人… 「よろしくお願いしまーす! 僕、阿部って言います!がんばりましょーね!」 明るい雰囲気で声をかけてくれたのは阿部さんというらしい。 「リサさん、仲良くしてくださいねー!」 いきなりの名前呼び………。 これはちょっと距離を考えて付き合っていかねば…と、気を引き締めるのに丁度良かった。
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