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助っ人
「おい!ハルの朝ご飯は?!着替えは?!何で寝てんだよ!」
リビングから夫の怒る声がする。
頭に響く。
(朝、風邪うつったって言ったのになぁ。
少し前までは、ハルくんが熱だったら一緒に面倒見てくれたり、私が熱の時も気にしてくれたんだけどなぁ。
あぁ、ハルくん、風邪の時つらかったんだな…。
すごい頑張って治したんだなぁ。偉いなぁ。)
もはや現実逃避で息子のことを考えていた。
すると…
バンッ!
寝室のドアを勢いよく夫が開けた。
「俺、もう会社行くから。ハルのことよろしく。」
「ごめんね、、
あの、相談なんだけど…さっき測ったら熱が38.5度あって、ちょっと体動かすのきついから、できたら在宅ワークとか午前出社とかにしてもらえないかな…。」
「はぁ…。
今日は本社で会議があるから無理。じゃ。」
バタンッ。
夫が家を後にする音がした。
(体は動かせるレベルだし、ハルのこと見なきゃ…。私が熱出ちゃったから、ハルには申し訳ないけど幼稚園今日も休んでもらおう…。えっと、まずは、、)
と、色々考えてると
「やば、、なんだろ、体が動かない…あれ…?」
突然、悲しくもないのに涙が出てきた。
これは前にもあった。
夫と激しく喧嘩したときと同じだ。
(今回は喧嘩してないのに…なんで…とりあえず親に連絡して助けてもらおう…。)
新幹線を使って1.5時間程の距離にある実家に事情を説明し、母に来てもらうことになった。
母が来るまでの間、なんとか子供にご飯を食べさせた。
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「え!リサ、大丈夫!?」
母が思ったよりも早く来てくれた。
そして私の顔が涙で目が腫れ、髪もボサボサ、着替えもしていない状態を見て、驚いていた。
「うん、なんとか、動けないけど…。
ごめんね急に…ほんと、何でか分からないんだけど体が動かなくなっちゃって…。」
「それはいいのよ、休んでて。
ハルく〜ん!久しぶりだね!ばぁばだよ〜!」
「わー!ばぁば!嬉しい!!あそぼー!!」
ハルはばぁばっ子なので、とても嬉しそうだった。
ちなみに、夫に母が来るよう連絡したところ、
[じゃあ俺いる間ホテルにでも泊まってくるわ]
と、返信が来た。
いないでいてくれるなら、その方が楽だったのでありがたかった。
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