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夫、帰宅
ハルが遊び疲れて昼寝をしている間、
母に夫との最近のことを話した。
「ん〜、そうなんだ。
そんな怒るような人には見えないけどねぇ。
でも、こんな状態のリサを見ると…。
まあ、最近は離婚するのも普通なんだし、
私はいつ離婚してもいいと思ってるからね。」
「え!離婚してもいいの?」
「うん。長い人生なんだし、まだ若いんだし。
そんな状態になってまで苦しまなくたっていいんだよ。」
リサは、まさか母にそう言って貰えるとは思っておらず、思わず泣いてしまった。
「そう言ってくれてありがとう。
ハルがいるから、離婚は全然考えてなかったけど…
とりあえず今後どうしたらいいか考えてみる。」
「うん。リサが決めたことに口は出さないよ。」
「お母さん、ほんと、ありがとう。」
自分にとって頼れる人は両親であり、
自分にとって大事な人は子供一択だと
改めて認識したのだった。
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リサの風邪が治り、母が帰ることになった。
「お母さん、ありがとね、また来てね。」
「はいよ、また来るね。」
「ばぁば、ばいばーい、また来てね!」
母は家を後にした。
(とりあえず、リョウくんが帰ってきたら、今後についてちゃんと話をしてみよう。)
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「ただいまー。」
夫が帰ってきた。
「おかえり。リョウくん、あのね、」
「やっとお母さん帰ったんだー。」
「え。」
「ホテルの空調微妙で、喉乾燥しちゃったよー。
俺のほうが風邪引きそうだったわ。」
「…。そっか、ごめんね。
ホテル泊まっててくれて、ありがと。」
「ほんと、感謝してよねー。夕飯できてる?」
「ごめん、今から作るから、待っててね。」
「夕飯くらいさっさと作ってよ。
いいよなーご飯作るだけだもんねリサの仕事は。」
「え、そんなこと言う人だっけ?」
思わず本音が出た。
「は?!何?!何か間違ってるか?!あ゛?!」
今日は特に短気だ。
ホテル滞在で疲れていたのだろうか。
「ごめん、もう夕飯作るから、
怒らないで、ごめんね。」
そう言って台所に逃げるしかなかった。
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子供を寝かしつける時間、
夫は一人、リビングでお酒を嗜んでいた。
私は子供と一緒に寝室のベッドで絵本を読み、
お話をしながら寝ようとしているところだった。
「ねぇママー。最近、パパ忙しいの?」
「…そうだね、パパはママとハルくんが生活できるよう、お外で頑張ってきてくれてるんだよ。」
「そっかぁ、でもぼく、パパともっとお話したり
遊んだりしたいなぁ。」
「そうだよね…。ごめんね、寂しい思いさせて…。」
そうして寝る子供を見て、
今後自分はどうしたらいいのか、
答えは出ないが、悩むしかなかった。
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