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暴露①
「それは困りますよ坂谷リョウさん。
いえ、ハルさん。」
ずっと口を閉ざしていた阿部が口を開いた。
そうだ、元はと言えば阿部が皆を集めたのではないか…!
「えっと、阿部さん。ハルは私の息子の名前で…」
リサが教えようとすると
「もちろん!知ってます!ハルくんは将来の僕の息子じゃないですか!!」
(??)
リサは阿部の言っていることが理解できなかった。
いや、したくなかった。
「おい、お前こいつとも不倫してたのか。
まあ、今更一人増えたところでな…。」
夫は、最早どうでもいいとでも言いたげな口ぶりだった。
「え、違う。阿部さんは連絡先すら知らない…。」
リサは否定するが、信じてない、と夫の目がそう言っていた。
「僕はリサさんとは清いお付き合いをしていましたよ!カフェでは一緒に仕事を頑張り、たまにご飯もご一緒して、帰りも家まで送ってましたからね。
それなのに、最近は僕とご飯するよりそこの不倫男とご飯に行き、僕と帰ることなくそこの不倫男と帰るフリをし事に及んでいた…。
僕は寛容な男なんですがね、そろそろ他が鬱陶しくなってきましたので、こうしてリサさんのために全てを清算させる場を設けてあげたんですよ!」
場が沈黙した。
ご飯に行く不倫男は木村さんで、事に及んだ不倫男は蓮也を示しているらしい。
そしてリサは口を震わせながら、
「もしかしてだけど、、
ご飯って店長が作ってくれる賄のことかな…?
それに、一緒に帰るって………。
私の後をつけてたってこと…?」
身に覚えはある。
帰り道、誰かに見られてるような気がすることがあった。
「こいつ、やばいやつじゃん…。」
と、夫が言うと
「旦那さんほどやばい奴じゃないですよ!
あなた、会員制SMクラブでハルって名前使ってますよね!
息子の名前を使う方がヤバいんじゃないんですか?!
あと確か、SMクラブは大学時代のご友人に最近誘われてハマってしまったそうですねぇ!
それにそのご友人とは、大学時代からのセフレじゃないですか!
育児がちょっと落ち着いてセフレ関係戻したそうじゃないですか!
何でも、リサさんが動けなくなるくらい怒鳴ると実家に戻るか母親を呼ぶから、その間自分の時間ができるとかで、あえて怒ってたみたいですねぇ。
とんだモラハラ夫じゃないですか。
リサさんに相応しくない。
さっさと離婚してくださいよ。」
そう言いながら阿部は証拠写真をぶち撒けた。
写真は衝撃的なものばかりだった。
大学時代のセフレは、私も知ってる人だった。
夫と同じゼミの人だった。
そしてSMクラブで夫はМであることにも
衝撃を受けた。
(夫も不倫をしてた。
それに、私のことを怒るのは、あえてしてたことだったんだ…。
私はきっと、リョウくんにとって家政婦だったんだな。)
リサは、夫の帰りが遅い理由、短気な理由が分かり
スッキリしていた。
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