ラベリング

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「他になにか情報は」  会議室で座る班員達。端末を操作しながら、明日花は見たラベルを記録していく。ラベルには所有者名以外もいくつかの情報が記録される。 「あのペンの購入場所は北区のアクアホール内のショップでした」 「班長が、アクアホールに?」  北区のアクアホールといえば、ドーム内の数少ないお出かけスポットで、どちらかといえば若者やファミリー向けの場所だ。 「日付は八月十一日。最近流行りの、なんでしたっけ、あの鳥みたいなキャラクターのイベント中でした」 「班長が、キャラクターイベントに!?」 「あの青色のペンも、白い部分はそのキャラクターのシルエットです」 「キャラクターもののペンを、班長が!?」 「うるさい桐矢。お前だってかわいいストラップとかハンカチとか持ってるじゃないか」  他の班員に指摘された桐矢は、いやいや、と首を横へ振る。 「僕は好きですけど、班長がそんなの持ってるの見たことないですよ」 「まぁ、確かに」  ワーカーホリックで、基本、職場と自宅の往復。なんなら職場に泊まり込んでいることも多い。そんな生活だから、持ち物もこだわりがなく、シンプルで機能性重視のものが大半だ。桐矢の言う通り、わざわざイベントに出向いてキャラクターもののペンを買うところなんて想像できない。
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