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そんなことを思ったのは、甘いメロンジュースのせいかもしれない。グラスについた水滴は、あっという間に机の上をだらしなくした。
水滴をティッシュで丁寧に拭き取る。そしてその上に小熊くんの目らしきものを、置いた。
もしもこれが小熊タケルくんのものだとしたら。
そりゃあ、まあ。
ね。
ふつうに、明日返すしかないよね。
「これ、小熊くんのじゃない?」って。
そうだ。
それで、話しかけちゃえばいいんじゃない?
「すてきな目ですね」って。
え、待って。
「すてきな目ですね」って、それ大丈夫?
それってさ、「好きです」って言ってるようなもんじゃない?
ねぇ小熊くん。
これは何?
これは目で、合ってますか?
もし、合ってるのだとしたら。
どうして私の足元に、あなたの目を置いていったのでしょうか?
もしかして、これは何かのしるしでしょうか?
そんなことを考えながら、眠りについた。
その夜、私は夢を見た。
何と小熊タケルくんの夢だった。
夢の中の小熊くんも、片方の目を失っていた。
「目、どうしたの?」
聞きながら、拾ったばかりの目を握りしめ、後ろ手に隠す。
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