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4.水無月 湊世
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<それで?>
台所で一通り話を聞いた黒い犬、文月は首を傾げた。
「それでって?」
話終えたのに催促をする文月に、少年はおかしそうに笑った。
<水無月 湊世は死んだ。であれば、君は一体誰なんだ?>
「おかしなことを聞くね。見た通りだよ」
少年が少し笑うと、反動で刃先がズレた包丁が指先を刺した。
傷口からどろりと、墨にも似た黒い血が零れだす。
少年は自身の血を見て、過去の記憶がフラッシュバックした。
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