4.水無月 湊世

1/2

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

4.水無月 湊世

── ──── ──────── <それで?>  台所で一通り話を聞いた黒い犬、文月は首を傾げた。 「それでって?」  話終えたのに催促をする文月に、少年はおかしそうに笑った。 <水無月 湊世は死んだ。であれば、君は一体誰なんだ?> 「おかしなことを聞くね。見た通りだよ」  少年が少し笑うと、反動で刃先がズレた包丁が指先を刺した。  傷口からどろりと、墨にも似た黒い血が零れだす。  少年は自身の血を見て、過去の記憶がフラッシュバックした。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加