自分の存在証明

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自分の存在証明

 体育の時間は縄跳びで持久飛びだった。今までは早くもなく遅くもなく目立たないように失敗して座っていた。でも今回は。  競うわけじゃないけど、最後まで残れば注目度も存在感も一気に上がる。怖いけど、手紙をくれた人と会えた時のために、自分を見せなくちゃ、自分で変えなくちゃと思った。  周りのみんなが縄跳びを失敗して座ってゆく中、僕は飛び続けた。 「おい、ズルすんなよ!」 「そうだズルだ、ズル!」 「お前らうるさいぞ。見てる先生もズルしてるっていうのか」  ストップウォッチを持った先生が、あいつらの声に一喝すると、他の生徒が何人かクスクスと笑った。今野がそれをお前のせいだと言いたそうに睨んできたけど気づかないフリをして飛び続けた。  最後は僕一人が五分間飛び続けて、先生に褒められ、みんなの拍手を浴びながら授業が終わった。  休憩時間さっそくあいつらがやって来た。 「今日の体育は暇だったなー。みんなを待たせていっぱい飛んでる女子がいたからな。なあ翔子」 「あんたはいつも待ってるだけじゃない」  いつもと同じ僕に対する言葉だった。でもなぜか今回は後ろから女子のツッコミが入った。 「なんだと!」  顔色を変えた今野が僕の後ろに行こうとしたので、咄嗟に立ち上がったら今野の前に立ちふさがるみたいになってしまった。そして椅子が立てた音が大きくて、自然とみんなの注目も集まってしまった。
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