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対決の時
お姉さんに会ってから、僕は自分を恥ずかしいと思う自分が恥ずかしいと思うようになった。病院の出口まで見送ってくれた看護師さんが言っていた。お姉さんは血液の病気で、ずっと適合者を待っているんだと。最近は体調が悪くて、きっと僕の存在が励みになったと。
小鳥がコースを変えたのか、週が明けてカプセルが届かなくなったままドッジボールの日を迎えた。チーム戦とはいえ、本当の勝負は僕対あいつらだ。今野は体が大きく胸でボールを受け止めるのがうまいから、みんな狙わない。その代わり、取り巻きは僕がやらなくても勝手に減っていった。
今までは適当な所でやられていたけれど、僕は避けるのがうまい。だから今野ひとりに対して、こっちは最後二人になった。ボールを取った今野が、僕と一対一になるために仲間を倒した。それが奴の失敗だった。仲間に当たって跳ねたボールを僕がとったからだ。僕がうまいのは避けることだけじゃない。僕は腰を捻るようにボールを持った腕を後ろに構えると、今野に向かって思い切り投げた。今野はいつものように両手でボールをすくうようにして胸で受け止めようとした。そして気が付いた時にはもう遅かった。ボールは狙った通り今野の足に当たった。僕は相手の弱点を見つけるのがうまい。
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