いつもの教室

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いつもの教室

 まだ教室には誰もいなかった。ランドセルを机に置いて、そのままポケットから紙切れを出して一枚を広げてみた。   ★ おはよう。こんちには。こんばんは。おやすみ? 毎日飛んで行くこの言葉は 誰かに届いているのかな? ★  人気のキャラクターが印刷された便箋を切り取った紙に、綺麗な字で書かれた言葉は、目的がある訳でもなさそうだった。この誰に届くかも分からないで書いている手紙は、どうして家に届くようになったのか興味がわいた。  二枚目を読もうとした時、あいつらの声が聞こえた。僕はあわてて手紙をポケットにしまった。 「おい、いつも遅いがもういるぞ」  さっそくガキ大将を絵にかいたような今野(こんの)が声を上げた。クラスのいじめっ子リーダーの彼は、肌が白くて髪が薄茶色の僕のことを女子扱いして名前の翔大(しょうた)翔子(しょうこ)と呼んでくる。  あいつらに呼ばれるのが嫌なんじゃない。周りのみんなにも、そうやって見られているのが恥ずかしくて、僕はいつも下を向いていた。
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