ポケットの手紙

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ポケットの手紙

 朝のワクワクとドキドキが嘘みたいに、いつものように下を向いたままの一日だった。あいつらの言葉が乗っかてるみたいに頭が重い。周りの視線を避けるように僕は家に帰った。  玄関の前に着くと、いつもドクがガレージの方からやってくる。 「ただいま」  頭を撫でると笑うみたいにハアハアと舌をだす。僕は深呼吸してから家に入った。 「ただいまー!」   ★ 未来なんて誰にも見えない だって今が過去になって 今が未来なんだから だから思った通りにはならなくても やった通りにはきっとなる ★  部屋に入るとクリアファイルに手紙を入れて二枚目を読んでみた。そして今まで考えようとしなかったことを考えた。  男子と女子の差が出始めてから、かわいいと言われるのが恥ずかしいと思うようになった。スポーツは好きだし得意なのに、女子みたいな見た目で仲間に入れてもらえなくなった。そしてあいつらに、からかわれるようになって下を向くようになった。  じっとしていれば、いつか変わると思ってた。なんとかなると思ってた。確かに変わってはいた。でもそれは僕が思ったのとは違っていた。その訳が手紙を読んで分かった。僕が何もやっていないからだ。
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