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放課後の追跡
前に届いた二つのカプセルには、どんな手紙が入っていたのか気になった。そして、どんな人が書いているんだろうと想像しながらおやつを食べた。
キャップに穴を開けたペットボトル、新聞紙にビニール袋。僕は散歩セットの入ったバックを持つと玄関を出た。大人しいドクの散歩も僕の仕事だ。
ドクは呼んでもいないのに、いつものように玄関先でリードを着けてもらうのを待っていた。
「よし、いこー」
ドクは尻尾をブンと振ると、僕の隣を歩き始めた。時々ずっと同じ近所を回るだけのコースなのに飽きないのかなと不思議に思う。けれど目線の低いドクには、どこを歩いても同じなのかもしれなかった。
「ワウ」
珍しくドクが吠えて驚いてしまった。ドクが見ている方に目を向けると、瓦屋根の立派な一軒家があって、その庭先にある木に小鳥が止まっていた。白さが目立つ見知らぬ鳥が飛び立つと、ドクが追いかけるように歩き出した。
「ちょっとドク!」
「ワウ」
ドクはいつものコースを外れた路地へと進んでいった。その先々にあの小鳥がいた。やっぱり追いかけてるみたいだ。
引っ張り合いになれば、僕はドクにかなわない。走りださない限りは困るほどでもないから、新しい散歩コースだと思って付いて行くことにした。
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