それは月曜日の朝だった

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それは月曜日の朝だった

「おはよう」  毎日おんなじ朝なのに、どうして月曜日は気持ちが重いんだろう。夜遅くまで起きていた訳でもないのに眠い。僕よりも遅く寝て、僕よりも早く会社に行くパパは凄いなと思う。そしてそれよりも早く起きてご飯を作ってくれるママは偉いなと思う。そんなパパやママをもつ僕は、周りから見たら、きっと幸せなんだろうなと思う。  僕の朝の任務はドクに餌をやることだ。人の年齢で言えばドクは僕よりも年上で大人しいゴールデン・レトリーバーだ。名前はパパとママが好きな映画に出てくる科学者の名前らしい。  ママが作ったドクの餌を盛ったお皿を持って、昨晩のお皿と取り換えようとした時だった。いつもはピカピカの銀のお皿の中に何かがあった。 「ママー! ドクのお皿の中になんかあるー」 「大変。ドクがご飯を残すなんて。あら何これ?」  手を拭きながらやってきたママがしゃがみ込むと、お皿の中の黄色い物を覗き込んだ。 「カプセルじゃない」 「カプセル?」 「お薬を入れて飲むものよ。なんでこんな所に。誰かのイタズラにしても家の中だしね。ドクが飲んじゃったら大変!」  ママはすぐにお皿を持って行った。カンカンと音がしてカプセルを捨てているのが分かった。  僕がお皿を置くとドクがやってきた。時間が決まっていなくても、お皿を置くとドクはいつもやって来る。鼻がいいんだとパパが言っていた。
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