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「先生、これ一体何だったんですか?」村田が訊ねた。
「皆の想い出に残したかったんだよ」
「どういうことですか?」
「現国の授業なんて、高校生活を振り返ったって絶対に思い出さないだろ? それがどうにも寂しくて、こういう意味わからないことしたら、誰かしらは覚えておいてくれるんじゃないかなーって思ってさ」
「今の今まで書いたこと忘れてましたよ」
「でも、今日、思い出しただろ?」
「そりゃそうですけど。特にお前はテーマがテーマだから、これで忘れないだろ?」
「どうでしょう。わかんないっすよ?」
「村田君は覚えておいてあげなよ」南が笑った。
「逆に俺が覚えておいてやるよ」僕も笑った。
「だったら、もっと凝ったテーマにすればよかった」江川が呟いた。
「お前のは逆に印象残るだろ。ありきたりな発想過ぎて」
「『未来への自分へ』のアンタには言われたくない」
「俺は決められたから。お前は自分で決めたんだろ?」
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