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チャイムが鳴った。書き終えたのは、そのおよそ五分前だった。
「書き終えた奴は、俺のところに持ってこい。帰りのホームルームの時間でもいいぞ。明日提出する奴は明日の朝のホームルームの時に出せ」
作文は全員、提出した。有本は、「上出来だ」と笑った。
「これ、何で書かされたんだろうな?」
昼休み、学食でから揚げ弁当を食べている時、向かいに座る村田が言った。
「知らねえ。有本の趣味じゃねえ」
「どんな趣味だよ」
「でも、他のクラスも書いたみたいだよ」となりの江川が言った。
「マジで?」僕と村田の声がそろった。
「らしいね」斜向かいに座る南が言った。
「どういうつもりなんだろ?」僕の言葉に、
「まあ、どうでもいいけどな」と村田。
「確かにどうでもいい」と江川。
「間違いない。本当にどうでもいい」と南。
「だよな」と僕は言った。
作文は卒業式終わりの最後のホームルームの時返された。
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