背中

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「え、高校行かんの……」 玖瑠美が驚いた表情で成明の顔を覗き込む。 「ああ、俺は親父の仕事を継ぐんやから、高校なんて行っても無駄やろ……。まあ、勉強も嫌いやしよ」 成明は唇の端を持ち上げて笑った。 二人で差している一本の傘は既に意味も無く、玖瑠美と成明の白いシャツを濡らしていた。 「しかし、すごい風やな。とりあえず、うちの納屋まで行こう」 成明は玖瑠美の差す傘を抜け出して、雨の中を走り出す。 それを合図に玖瑠美も傘をたたんで雨の中を成明に付いて走った。 「これって台風が過ぎてから帰った方が良かったんちゃうんかな……」 玖瑠美は成明の後ろから言う。 「黙って走れ、今更言うても遅いわい」 成明は顔を顰めながら玖瑠美を振り返った。
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