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「玖瑠美を嫁にもらおうにも、こんな瓦屋じゃな……」
「何言うてんねん……。そんなんちゃうわ……」
喰い付く様に成明は正成に言うが、玖瑠美は俯いて何も言わなかった。
正成は顎で玖瑠美を指した。
成明は俯いた玖瑠美に気付き、眉を寄せる。
「玖瑠美……」
その言葉に玖瑠美は顔を上げた。
「そ、そうやで……。おじさんなに言うてんのよ。私みたいなイイオンナがナルみたいな奴と結婚するわけ無いやん。ええ加減にしてよ」
玖瑠美は首にかけたタオルを正成に投げ付けた。
それを泥だらけの手で掴むと正成はまた、歯を見せて笑った。
「ナルみたいな奴って言われてもな、一応、俺の息子なんやけど……」
玖瑠美は顔を真っ赤にして再び俯いた。
そしてそれを見た成明も同じ様に頬を赤く染める。
「まあ、人生なんてそれなりにアソビが必要なんや……。色々と経験せんと、モノの善し悪しもわからんしな……」
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