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昔、国道だった古い道を渡り、その集落の人しか通らない細い道に入っていく。
そして海の傍にある納屋と呼ばれる小屋の軒下に二人は駆け込んだ。
成明は玖瑠美の入れるスペースを開けると背負ったリュックを下ろし、中からタオルを取り出した。
「ほら、使えよ」
そのタオルを受け取り玖瑠美は雨水の滴る髪を荒々しく拭いた。
その様子を成明はじっと見ていた。
玖瑠美は濡れて透けてしまった白いブラウスの胸を隠し、
「見んといてよ……。スケベ」
そう言うと成明に背中を向ける。
「誰が見るか……、そんな小さい胸……」
「何か言うた」
「いいや、何も……」
成明も玖瑠美に背を向けて自分の前髪から滴る雨水を気にした。
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