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「そろそろええかな……」
と二人の後ろの建付けの悪い戸が開いて、成明の父親、正成が顔を出した。
「何だよ……。親父、居ったんかよ」
正成はタバコを咥えたまま、二人の顔を交互に見た。
「玖瑠美。少しはおっぱい大きくなったか」
玖瑠美は濡れたブラウスの胸を隠しながら
「おじさん、それってセクハラ……」
そう言い、舌を出す。
正成はニヤニヤと笑いながら、煙を吐いた。
「いや、しばらく黙っとったらラブシーンでも見られるかと思ってたんやけど……」
「アホか。息子のラブシーン見て、何が楽しいんや……」
成明は正成の脇を抜けて納屋の中に入って行く。
その成明に付いて玖瑠美も納屋の中に入った。
静かな納屋の中は煤けた様な匂いと土の匂いが混ざって独特の匂いが充満している。
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