4人が本棚に入れています
本棚に追加
成明はリュックを納屋の隅に置いて、首にかけたタオルを玖瑠美の肩にかけた。
「そうか……」
正成はそれだけ言うと捏ねる様にして、型に泥を押し込んだ。
「学があればこんな仕事せんでも済むんやけどな……」
正成は成明を見上げる様に見るとまた歯を見せて笑う。
玖瑠美は傍にあった椅子に座り、まだ水の滴る濡れた髪を拭いた。
「俺が継がんと、この瓦屋が無くなるやろ……。誰が焼くんか……」
成明は納屋の一角に積んである土を桶に入れると水を入れた。
「こんな仕事かもしれんけど、瓦も蛸壺も欲しいって人、まだまだ居るんやから……」
成明は桶に手を入れ、その土を捏ね始めた。
「蛸壺も作ってるん」
玖瑠美はタオルを頭から被ったまま訊く。
最初のコメントを投稿しよう!