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でも、メメが力を持ちすぎた。鈴で誘導するのも限界なんだ。メメは鈴の音よりも、人の声や怯える者の声に強く反応してしまう。
SNSの発達で妙な噂話を聞きつけて、この山に入る人たちを何とかしないと。それが今俺にできることだ。これ以上メメに自信をつけさせたら、本当に取り返しがつかないことになるかもしれない。
悪者なんて誰もいない。メメが悪かったわけでも、当主が悪かったわけでもない。子供を殺された親ならそうなって当然だ。差別も当時はそれが普通だった。今回来た奴だってメメを救いたかっただけ。
誰も悪くないのなら、どうしてこんなことになったんだ。
「じいちゃん。誰が悪いんだろうな、今回のこと」
「全員だ」
メメも、俺も含めて全員。
俺が当時このことをすぐ話していれば。俺が昔のことをもっと早く思い出して今回の結論に至っていればこうはならなかった。山神様の言う通り、もう何もかもが手遅れだ。
人を殺し続ければメメは悪霊としてますます力を持ってしまう。そうしたらもう手に負えない。この地に住む者を恨んでいるメメが、じいちゃんや俺を殺しに来るかもしれない。
そうならないために、俺はなるべくメメを人々から遠ざける必要がある。仮に犠牲になった人がいたとしても、見て見ぬふりをしたまま。この先ずっと、子孫も永遠に。
今一度、今一度。
よくご覧ください、私は良くしているでしょう? ねえ。
ちゃんと泣き止んだじゃあないですか。
イマイチド、やってみせますから。
よぉぉくご覧ください。
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