ババンババンバンバン

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ババンババンバンバン

 そして最後に、小田切榮と、稲荷山宗晴のしょうもないカップルが、「恐怖アパートいざなみ」の、3階に到達していた。  取り巻きは、とっくに消えていた。  特に、苧環は、酷い消え方だった。  ああもう!何なんですのこのアパートは!  ホーテッドパレスは、サッサと取り壊しが決まったし!メイド喫茶?!何あの売り上げ?!涼白さんと握手出来るってだけで、半日で売り上げ8200万?!完全にしてやられたあああああああああああ!あっちが本命じゃないですの!ああだこうだ言っときながら! 「さ、榮、ようやく理解した。お化け屋敷と見せかけて、ただのリアル青鬼だった。そういうゲームだった。そんなゲームに、何故高齢者を?」 「ええ。ご老公はそれで。苧環は、食われましたわね」  ですが!ここにある印鑑と!苧環見捨ててゲットした転居届があれば!これでクリア出来ますわあああああああ!  今に見とけよ百鬼姫ゴラああああああああ!お前なんかに負けはせん決して!  っていうか!アパートの2階にポストって!法的にクリアされてますのこれ?!  ドシドシ階段降りてって、署名捺印した転居届をポストにぶち込んだところで、 「き、きいいいいいいいいいいいいいいいい!」  ドスンと、何かが榮を引っ張った。  ああ!腰を掴んだ宗晴様グッジョブ!エスコートされてて、嬉しい♡  でもこれは!これは何だあああああああああああ?!  ポストの中には、無数の目が見えていた。  どれも、その黒目は絞られている。  遂に、最後のホラーが始まった。  ポストと言わず壁と言わずドアと言わず、無尽蔵に伸びた黒い影の腕が、榮達をもみくちゃにしていった。 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ?!」  何が起こったの?!っていうか!餓鬼のバックバンドうるさい!  じゃじゃじゃじゃんじゃかじゃんじゃんじゃんじゃかじゃんじゃんんっじゃっじゃ!  榮達は、おめでとうの胴上げを食らっていた。 「宿題しろよ」 「歯あ磨けよ」 「また来年」  代表して、フナ侍の言祝ぎがあったが、 「も、もうたくさんですわああああああああああああああああああああああああ!助けてええええええええええええええ!」 「まあ一応、クリアおめでとうって、あれだったんだけどね?」 「まあ、よかったんじゃないか?全部丸く収まって」 「うんまあ、それいいんだけどさ。あんたの家庭の揉め事に」  よそんちの子を巻き込むな。この魔上皇は。  翌日の、銀正男と葦原美鈴のライブの成功をもって、無事、勘解由小路と田所紀子の師弟コンビは、稲荷山鵺春に、完全な勝利を収めていた。  あ、それはともかくとして。  紀子は、翌日、おにぎりが、鵺春の子供を孕んだことを目撃して、おめでとうって、素直に言いづらかった。  了
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