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しょうもない令嬢の述懐
放課後、おにぎり女はイライラしながら、迎えの車に向かっていた。
私は小田切榮!誰もが羨む令嬢だと言われて生きてきた。
当然よ!だって、私は小田切榮なのだから!
小学校に上る前、榮は稲荷山トキの台覧を賜ることになった。
小田切家には、土御門家の血も混じっていたから。
ふむ。私を一瞥し、トキさまはおっしゃった。
霊力自体はございます。須らく、遍く物象には霊力がございなすれば。しかし、それを活用可能な方は、決して多くは、は?
そこで、トキさまは何かを感じられたらしかった。
まあようございます。私の学び舎で、霊異を学ばれませ。どうせ、高校卒業を待つ前に。
とか何とかおっしゃっていた。
両親は大いに嬉しがり、私の洋々たる前途を、千言万語を持って祝福していたようだった。
トキさまは、天通眼をお持ちで、何か、私の未来を見通されたのだということを、何となく聞かされた覚えがあった。
ああ。ああ!トキさまは、この未来をご覧になられたのですね?!
未来の夫たる、稲荷山宗春様を得て、私の権勢はその勢いをままにすると思っていた。
一方、私に阿ることのない、不快な同級生がいた。
はん。幾ら、私よりも霊的に7、8段高いところにいても、所詮帝の侍従の娘でしょう?何ら敵し得ない。あんな女。
そう高を括っていたら、あれ?皇女殿下?百鬼姫?何これ。
小1で入ってきた、陰気な虐待された男の子?ふうん。粉かけるか。はあ?!口すら利かないって何?!
まあいいや放っとけ、と思っていた男子は、日本沈没を未然に防いだ、日本の守護神?え?あの獣臭い男が?志那都の風神とか呼ばれている?
そして、日本最高のロイヤルな令嬢である私が、今やクラスのどっかにいるモブの1人?!ぶち殺したいがぶち殺せん!あのドブス皇女があああああああ!
もう壮絶にムカムカしていると、榮を追い越そうとする、汚い何かが咥えタバコでポケットに手を突っ込んでいた。
あ。
あん?
何か、けったいな利害が一致したことを認識していた。
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