9人が本棚に入れています
本棚に追加
家庭カースト最下層の不敵
勘解由小路家の閨房、に夕闇の帳が降りようとしていた。
その前に、子供達が帰ってきたので、まあ中断してまったりしていると、変な時間にピンポンが鳴った。
「あ?何しに来た?鵺春お前?メキシコ帰りか?」
「宗晴だって何遍言わせんだ?!メキシコじゃないし!!大体!あんた今日学校サボったろう?!教員が学校サボるなんてこんなのあるのか?!」
来客は、現稲荷山グループ総裁にして、市立狐魂堂学園理事長の、稲荷山宗晴だった。
「うるさいなあ。お前は。サッサとあれだ、家に帰って田所の9段落ちするニセ令嬢みたいな、つまらん許嫁とよろしくやってればいいのに」
お前まで、お前まで言うのか?
確かに榮は許嫁であるし、まあ、そういう間柄には、なってはいるが、それでも、俺の中には何か、これでいいのか?という思いが付き纏っている。
多分、母のトキは何も言わなかったが、宗晴にとってはそれが凄く大きかった。
お前には、この程度の女がお似合いだ。と言われた気がしたのだ。
そして、お前までもが、俺の女をニセ令嬢と呼ぶのか?!
「許嫁のことは放っとけええええ!今回!俺はあんたに完全勝利するからな?!」
「え?何で?」
「はっはあああ?ご存じないらしい。狐魂堂学園の文化祭というものの重要性を」
「つまらんガキのお祭りだろうに」
はっ!宗晴は鼻で笑った。
「狐魂堂学園では、これからの進路を考えれば、それは壮絶なマネーゲームの始まりを意味する!いずれ様々な企業のリーダーとなり得る器は、その将器を磨き、学祭レベルのものでさえ、観覧者の心胆を心底掴まねばならない!まあ、皇女殿下ですら、去年は子供騙しの喫茶店などやらかしたのでね?軽く千切ってやったのだよ。ハッキリ言って、この祭りで得た名声は、大学進学とは比べるまでもない!まあ、貴方は精々ドサ回りなような祓魔作業に勤しんでいればよろしい。明日は学校に来いよ?!来ないとクビだからな?!」
一方的に捲し立て、鵺春は帰っていった。
少し、少しだけ黙考し、勘解由小路は携帯で親友を呼び出した。
「トゥットゥットゥットゥー。よう島原。まだオフィスにいるのか?あん?俺はまあ、今日学校サボったんでな?携帯は全く弄ってない。何があったかだけ、搔い摘まんで教えろ」
最初のコメントを投稿しよう!