悪者の色

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 別に子ども好きなつもりはなかったのだが、やっぱり拒絶されるとショックで、気の赴くまま、近所の公園に来ていた。どこかの家の飼い猫が寄ってくるこの場所は考え事をしたいときにはぴったりだ。それにしても、猫は寄ってきてくれるのだな。子どもと違って……。ただ、難点は小学校の下校時刻を過ぎると子供が押し寄せてきて譲らざるを得ない点だ。  そんなことを思い出して、スマホをジャケットの胸ポケットから取り出すともうすぐ5時。そろそろ小学生がやってくる。俺はベンチから立ち上がり公園の出入り口の方へと歩いた。すると、小さな子を引き連れている全体的に黄色っぽい見慣れた女とすれ違った。 「あれ? 黒島じゃん、どしたの?」 「俺はただ猫とじゃれてただけだよ。お前こそどうしたんだよ。その子ども」  ざっと5人の子どもを引き連れているようだ。五人ともまだ成長期は迎えていない1~4年生の子どもに見える。顔はあまり似ていないし、兄弟姉妹というわけでもなさそうだ。 「ああ、この子たちは学童の子。言ってなかったっけ? あたし、学童のバイトやってるって」  そういうことで俺は帰ろうとしたが、「一緒に子どもたちを見ててよ」なんて言われてまたベンチに引き戻された。 「最近、佐藤さんと水島さんが辞めちゃって、ちょっと大変なんだよね。手伝ってほしいんだけど」 「俺がか? 無理だ。ただでさえ嫌われやすいのに」 「そんなことないって、今学童でドンジャラが流行ってるから、麻雀強い黒島ならヒーローになれるよ」 「単純すぎるだろ……」 「それに、こういう日々の積み重ねが人気に関わってくるんだから」  俺は子ども人気を獲得したくて仕方がない奴だと思われているようだ。ただ、黄田の言葉に乗せられそうになっているあたり、実際に子ども人気が欲しくて仕方がないのかもしれない。
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