悪者の色

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「じゃあ、皆の宿題も終わったことだし、ドンジャラでもする?」  最後の一人の宿題の丸付けが終わり、黄田は手をパンと叩いて子どもたちに呼びかけた。宿題が終わって絵を描いたり、毛糸を編んだり、思い思いに遊んでいた子供たちも手をパンと叩く合図に反応してすぐさま顔をあげた。このタイミングで手をパンと叩く合図は楽しいことの始まりだと知っているのだろう。 「うん!」  子どもたちはドンジャラの箱を用意し始めた。子どもが準備に夢中になっている中、黄田が何やら俺の耳元で囁いてくる。 「スマイル忘れてるよ」 「え?」 「顔、ちょっと怖いかも。ちょっと気分転換にスーパーにでも行って来たら? ほら、明日のクッキングの材料」  黄田は俺にメモ用紙の切れ端を手渡した。小麦粉、卵、砂糖、牛乳……ケーキでも作るのだろうか。 「パシリかよ」 「まぁ、良いじゃん。とびきりの笑顔で帰ってきてね」
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