悪者の色

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 道中には餅のようなもので地面や壁に固定されて動けない市民がたくさんいる。おそらく、いや99%の確率で怪人の仕業だ。トリモチ怪人とかそういう感じのやつだろうか。  走りながら変身して、現場に駆け付けた。他の四人はもうとっくにやってきて戦っている。ブラックホールの怪人はまたもや黒色。ピカピカと黒光りして、動きはとんでもなく素早い。もしかして夜の民家でカサカサ動くあの虫の能力を持っているのだろう。体力自慢の赤城ですら、動きについていけずへばっている。 「一応、虫系怪人用のスプレーを撒きたいんだけど、速くて追いつけないの」  白木は銃口をミスト噴射用に切り替えるように見せながら愚痴を言ってきた。確かに本物のゴキブリとは比較にならないほど素早い。残像が見える。普通の人間の走りでは追いつけないというよりもテレポートしているという感じだ。 「もうこうなったら高速移動使おうよ」  黄田は腰のポシェットからスマホに外付けできる黄色いアクセサリーを取り出した。司令官から一人一つずつ違った能力を使えるように与えられた。スピード自慢の黄田には高速移動のスピードジャックが与えられた。  スピードジャックを刺した黄田が走り出す。すると、どの陸上選手にも追いつけないスピードで走りだす。こちらもまた残像が見える。  これなら、あのゴキブリ怪人に追いつける。そう願って、武器を用意していると、横に何かが通った。俺より身長は低くて、足の遅い、そう、人間の子どもだ。 「危ない!」  高速で走り回る怪人と黄田にぶつかったら危ない。とっさに俺の体は前に出ていた。俺の腕が少女の体を捕らえ、俺の背中で地面にぶつかる衝撃を和らげる。しかし一瞬の隙が残像を残せるほど高速な敵にとっては、一秒以上の隙となってしまった。  気が付くと俺は、大規模なとりもちによって地面に張り付けられていた。もちろん少女も一緒だ。
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