室町時代の影

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室町時代の影

 黒田はロックアイランドの言葉と黒井のノートに記された黒魔術の儀式を思い返しながら、彼の住む古びた屋敷を後にした。外はすっかり夜になり、月明かりが薄暗い道を照らしていた。黒田の胸には、次の犠牲者が出る前にこの謎を解決しなければならないという決意が宿っていた。   帰り道、仙人から不思議な枕をもらった。 「こいつをするとよく眠れる。けど、あまり使うと病になるぞ」     枕はタイムスリップする為の道具だった。   **数日後、囲碁サロンにて**  黒田は再び囲碁サロンを訪れた。その囲碁サロンは高瀬川の畔にあり、現在も存在した。そこには仙人がいた。 「あの枕ありがとうございます」 「俺は新しいアイテムを手に入れたからな」  サロンには依然として不穏な空気が漂っており、若手棋士たちの間には恐怖が広がっていた。どうやら、仙人が伝えたらしい。 「黒井さんのことは残念だった。黒番さんまで殺されるなんて」   若手棋士の1人、敦也が言った。 「黒番を知ってるのか?」  黒井と黒番直樹の死は、彼らにとっても大きな衝撃であり、次に自分が狙われるのではないかという不安があった。 「彼は勇者です。彼のお陰でコロナが収束した」  名前は黒番だが、白番のときが多く。黒番を倒したことで白魔術を発生させた。  黒田はサロンのオーナーに事情を聞いた。彼は、黒番直樹が死ぬ直前に何か不思議なことを話していたという証言を得た。 「黒番は、死ぬ前に何か言い残していませんでしたか?」と黒田は尋ねた。  オーナーは思い出すように目を細め、「彼は『室町時代の秘密』という言葉を繰り返していました。それが何を意味するのかは分かりませんが」と答えた。オーナーは室町時代に行ったことがあるようだ。黒番は室町時代に死んだ。 「室町時代の秘密…」黒田はその言葉を反芻しながら、次の手がかりを探る決意を固めた。  黒田は地元の図書館に足を運び、室町時代に関する文献を漁り始めた。彼は古い歴史書や記録を丹念に調べ、黒魔術に関連する記述を探した。やがて、彼はある一冊の古書に辿り着いた。その書物には、室町時代に行われたという黒魔術の儀式について詳述されていた。  その儀式は、「黒の力を呼び覚ますための儀式」として知られており、特定の囲碁の駒の配置によって発動するという。黒田はその記述に震えを覚えた。まさに黒番直樹が最後に打った一手が、その儀式を完成させるための一手だったのだ。  黒田はこの情報を手に、枕を使い再びロックアイランドの元へ向かった。彼はロックアイランドがこの黒魔術の儀式を実行し、犠牲者を出していると確信していた。屋敷に足を踏み入れた黒田は、再びロックアイランドと対峙した。 「ロックアイランド、もう隠すことはない。お前の師の遺言とこの黒魔術の儀式が、全ての元凶だ。なぜこんなことをする?」黒田は強い口調で問い詰めた。  ロックアイランドは冷静な顔を崩さず、「それは師の意志を継ぐためだ。黒の力を蘇らせることで、我々は新たな時代を築くのだ」と答えた。  黒田は拳を握りしめ、「そのために多くの命を奪うことが正義だというのか?お前の行いは、ただの殺戮だ」と非難した。  ロックアイランドは微笑を浮かべ、「お前には理解できないかもしれないが、これは運命なのだ。だが、お前がここに来たことで、少しばかり興味が湧いた」と言いながら、一歩近づいてきた。 「運命だと?そんなものは自分で変えるものだ」と黒田は決然と言い放ち、ノートを掲げた。「黒井の遺したノートが、全ての証拠だ。お前の陰謀を暴いてみせる」  その瞬間、ロックアイランドの顔に初めて動揺の色が浮かんだ。黒田はその隙を見逃さず、決意を新たにした。
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