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「ありがとうメアリ。僕の愚かさを、弱さを許してくれ! 君は誰かの希望になりたいと言っていたね。どうか、僕だけの希望であってほしい。君の前世の記憶は、誰にも明かさないでくれ」
「ええ、地球の記憶は、ロバート様と私だけの秘密にしましょう。私の記憶を明かさずとも、陛下がおっしゃったように、時間をかければ偏見を失くすことはできましょう」
メアリの澄んだ声は、慈悲の響きに満ちている。
「私こそ、ロバート様に許してもらわないと」
愛しい婚約者が、恥ずかしそうに俯いた。
「ロバート様にとって、前世の記憶は苦しみのもとでしょうが……私にとっては、こんな嬉しいことはありません。だって……愛しい方が前世で同じ星に生まれていたなんて……」
「僕も同じ気持ちだ。メアリと一緒で嬉しいよ」
「私はネールガンドのカートレット家に生まれ、両親に愛され不自由なく幸せに育ちました。なのに、世界でひとりぼっちのような孤独感が付きまとっていたのです。でも、でも……」
メアリは僕の頬を包み込み、そっと唇を重ね合わせた。
「私はもう、ひとりではないのね……あなたがここにいるもの!」
婚約者は、僕の首に腕を伸ばして抱きついた。
これで彼女は決して僕から離れないだろう。
前世がチキュウ? ニホンに憧れていた? もちろんそんな夢は、見たことがない。
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