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〇綿花の畑の中の一本道(夜)
月明かりの下、黒人と思しき痩せた影が、裸のギターを背にかけて歩いている。男はロバート・ジョンソン(19)。
その足取りはおぼつかない。
大杉の声「ミシシッピ州のジュークジョイントです。黒人たちが普段の労働の憂さ晴らしをする酒場。そこで彼は下手なりに飛び入りで舞台に出たりもしていたらしいんですけどね、評判はよくない。でも、肉体労働は好きじゃない。当時ですから綿摘みの作業ですね。できれば、ギターと歌で稼ぎたい」
村山の声「はい」
大杉の声「昔は結婚年齢が早かったんですね。そんなんでも彼、18歳で奥さんがいたんです。その奥さんが16歳で死産した。その時、奥さんも亡くなった」
ジョンソン、石くれにつまづいて転ぶ。起き上がらないジョンソン。
遠くから車が近づく音がする。
トラックが近づいてジョンソンを照らす。
ジョンソン、慌てて上半身を起こし、右手の親指を立て、トラックを停めようとする。
クラクションを鳴らして行き過ぎるトラック。
手を下ろして、じっとトラックが走り去った先を見つめているジョンソン。
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