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〇住宅街(夜)
並んで歩いている村山と坂井。
村山「坂井君たちは会社でいろんな人たちから命を集めてるんだよね」
坂井「はい」
村山「その命はどこ行っちゃうの?」
坂井「ああ。疑問に思いますよね。事業内容」
村山「うん」
坂井「太く短い人生を一気に燃焼する人もいれば、細く長い人生をいつまでも終わらせたくない人もいる。それが人間です」
村山「うん」
坂井「どっちがいいってわけじゃありませんが、生物学的には一定時間の命はどれも等価です」
村山「あ。ああ」
坂井「お分かりになりましたか?」
村山「坂井君たちは、長く生きたい人に命を売ってる?」
坂井「命の再分配。それが僕たちの仕事です」
村山「悪魔だ」
坂井「僕たちはそうやって食べてます」
村山「そうだね。職業なんだよね。ほら、着いたよ。すぐそこ」
と言って、河川敷の段丘を指さす。
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