〇同・カウンター(夜)

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〇同・カウンター(夜)

黒木、カウンターの中で洗い物をしている。 イヤホンをした大杉、左の耳たぶを掻きながら、スマホを見ている。 村山、その隣に腰かける。 大杉「お」 村山、大杉のスマホを覗きながら。 村山「さっきも聴いてましたよね、それ」 大杉のスマホ画面は、石川ひとみの「三枚の写真」の動画。 大杉、画面をオフにし、イヤホンを外しながら。 大杉「毎日聴いてますよ。よく見つけてくださった。村山君のおかげです」 村山「そんな大げさな」 大杉「大げさじゃないですよ。村山君が教えてくれなかったら、僕は死ぬまで二度と動いてる石川ひとみの「三枚の写真」を観られなかったんですから。命は短い。大感謝です。でなきゃ、村山君に坂井君を紹介してなかった」 村山「いえ。その点はこっちの方が感謝です」 大杉「本当に?」 村山「勿論。あ、大杉さん、チューニングの話、少し盛りましたよね」 大杉「ははは。そっちの方が真実味あるしね。ま、よかった。ブルースデュオですか。ブラウニー・マギーとサニー・テリーですね」 × × × ギターのブラウニー・マギーとハープのサニー・テリーの演奏シーン。 × × × 村山「やっぱ、バディ・ガイとジュニア・ウェルズです」 × × × ギターのバディ・ガイとハープのジュニア・ウェルズの演奏シーン。 × × × 大杉「スリーピー・ジョン・エスティスとハミー・ニクソンってのも渋い」 × × × ギターのスリーピー・ジョン・エスティスとハープのハミー・ニクソンの演奏シーン。 × × × 村山、突然後ろから肩を叩かれる。 立っているのはグラスを持った平原。 平原「むらやま~。期待してるよ。デビューライブ、がんばってね。お客の入りは残念だけどさ、初めてだったらこの位の方がやりやすいのよ」 村山と大杉、二人そろって左の耳たぶを掻きながらきょとんとしている。 黒木、村山と大杉を見ながら。 黒木「僕も残念ながら、客席はがらがらにしか見えないんですよね」 黒木の目線の先は、空席だらけの客席。 出演者を含めた客たちは、歓談しながら酒を飲んでいる。 坂井、トイレから出てくる。
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