〇同・ステージ(夜)

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〇同・ステージ(夜)

ドラムの男とベースの大杉、舞台に残っている。 そこにギターを持った下田、ブルースハープを持った平原、ギターを持った村山、上がる。 平原「歌は僕からでいいかな」 下田、右手で丸を作ってオッケーサイン。 村山、右手でどうぞ、とサイン。 村山、アンプから伸びたシールドを自分のギターに差す。 横に立った大杉、村山に話しかける。 大杉「よろしくね」 村山「こちらこそよろしくお願いします」 平原、後ろを向いて、メンバーの準備の状況を確かめる。 平原「準備おっけ?じゃあ、曲は、メッシンウイズザキッドで。キーはGです。スピードは、たんたんたんたん、こんぐらい(と言って手を叩く)」 村山「(小さい声で)やべ。やったことない」 大杉「大丈夫。ブルースなんだから」 平原、ドラムの方を向く。 平原「それじゃ、行きます。わーん、つー、ユウノウホワットゥドゥ」 村山を除く全員のリフから始まる楽曲。 慣れた風に演奏するメンバー。 村山、リズムに乗れず棒立ちになる。 平原、ワンコーラス歌うと、ハープのソロを吹く。 その姿を見ながら必死にリズムを合わせようとする村山。 平原、ソロを吹き終えると、下田、ギターソロを弾き始める。 声援が飛ぶ。得意げな下田。 その姿を見ている村山、表情を失くしている。 下田、ギターソロを弾き終える。 平原「ネクスト!村山さん!」 村山、ギターのつまみを回してソロを弾き始めるも、巨大な音がハウリングする。 耳を押さえる観客。 慌ててギターのボリュームを下げる村山、手に持ったピックを落としてしまう。 村山「あ」 屈んで足元のピックを探す村山。なかなか見つからない。 ソロを取る主人公を失ったバンドの演奏が続くステージ。
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