6、日曜日は

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「あれは、アイツらと一緒になって、マツ達のグループと遊んでた」 「マツか……懐かしいね。今頃、すごい美人さんになっているね。付き合いは未だあるの?」 「ない。どこで何をしてるのかも知らない。この前の同窓会にも来なかった」 「そっか。思う様にいかないね。西田君、ずっとマツのこと好きだったのにね」 剛史は驚いたように慌てた。「えっ⁈誰がそんなこと言ってたの?」 「見てれば分かるよ。私ね、ずっと西田君のこと見てたから。今は見てないけどね」 剛史は、暫くさちの顔を見ていた。「……あのさ、俺と付き合わない?」 さちは、剛史の言葉を聞いてニヤッとしながら言った。「私はモブだから。西田君に似合わないよ」 「モブ?なんだそれ!綺麗な顔してソレ言うか?」 「詐欺メイクに騙されてる。私、メイクの達人よ」 「何だよそれ。今、スッピンじゃんか!俺をおちょくってんの?」 「あ………」と言って、さちは右手を自分の頰に当てた。 なんだかんだ言って剛史は、さちの家までついてきた。さちの母が出てきて「剛史君。懐かしいわね」と声をかける。さちの母と剛史の母は元PTAの役員仲間だ。今も一緒のグループで旅行に行ったりしている。  でも、昔からそれだけだ。母親同士は仲が良くても西田君は男子で、さちは女子。全然仲良くなかった。 さちは、モブだったし西田剛史を知らない女子は居なかった。  剛史は、自然にさちの家に入り込み、手に下げていた緩くなったビールを父と飲み出した。14歳のさちは剛史が好きだった。でも、24歳のさちは、好きだった理由さえ分からなくなっている。西田剛史のその場その時しか考えていない考えの浅さが見えている。 さちは困ったなぁと思った。こんな事されたら父も母も誤解してしまうじゃないか。  
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