7、おじさん改造計画

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7、おじさん改造計画

 蒲田のお礼から1ヶ月が経った。 達也とさちのラインのお付き合いは毎日続いている。おはよう。お休み。仕事の相談。達也が一番気になっているのは、西田のことだ。さちは西田が家によく来て困ると書いてくる。  あの高輪のホテルの前で一度だけ見た西田。さちの同級生。誰が見てもイケメン。背も185を超えている。それだけあれば、さちがハイヒールを履いても見劣りしない。気にしても仕方ないことはしないと決めた筈なのに気になって困っていた。今度は、自分からデートに誘わなくては……と達也は意気込んでいたが、その前に色々と準備がしたかった。  曽我部事務所の古参事務員の阿部は、出勤してきた曽我部に驚いてしまった。 一応清潔感アリ程度の曽我部所長が、いかにも美容院に行きました的な髪型になったからだ。 両サイドが短いツーブロック。それに、よく見ると心なしか痩せた様に見える。こざっぱりしてみると、顔立ちは悪くない。阿部は曽我部の父が健在だった頃から勤めている。大学出たての頃からの曽我部を知っている。 阿部の知る限り、この坊ちゃんがお洒落なるものを意識しているのは初めてだ。  阿部は気がついていたのだ。この拗れたオジサンになってしまった坊ちゃんが、あの綺麗な新入りに気があることを。だから、わざと皆んなで坊ちゃんの側でお弁当を食べる様に仕向けた。 もう若くはない阿部までワクワクしてきた。
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