7、おじさん改造計画

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 達也は、若くて綺麗なさちに少しでも見合う自分になりたかった。 ネットで検索すると「人は見た目が9割」と書いてあった。今までの自分なら、人は見た目ではない!と反発していたと思う。  でも、一番のコンプレックスの身長を、さちに『ちょうど同じ背丈』と言われたことで受け入れることができた。だから、自分で良くすることができる部分は頑張ろうと思ったのだ。 少しは痩せて、健康的になろうと思った。1ヶ月で5キロ痩せた。未だ未だスッキリには程遠いが、苦手な運動も仕事帰りにジムに通う様になった。食事の見直しは母に話したら賛成してくれた。ママ弁の中身も野菜と鶏肉ばかりだ。糖質オフは本当にすごい。  さちは所長の変化に驚いていた。所長は、あれから全然さちを誘ってくれない。やっぱり可愛げが無いから嫌われちゃったのかなと思った。ラインでは親しいのに、仕事場では全く別の態度をお互いに取る。  さちは、あの同窓会の夜のドキンは、本物のドキンだと分かってしまっていた。誘ってもらえるのを待っている今の気持ちは、雨の中を傘を差して1人で佇んでいる様だと感じていた。  別にさちから誘ってもいいとは思う。でも、口実が見つからない。口実を考えていて、さちは気がついた。  口実なんで要らない。2人で会いたいという気持ちを言えばいいんだ。男の方が誘うのが当たり前じゃないもの。  さちは傘をさして自分から好きな人の方へ歩いて行く道を選ぼうと思った。 その夜、達也からのラインで次のデートが決まった。さちは素直に「待ってたんです。嬉しいです」と書き込んで送信した。それを受け取った達也は、ちゃんとお付き合いを申し込もうと決意した。    
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