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達也とさちの背の高さは本当に同じで、達也はさちの肩を借りてレストハウスにたどり着いた。暫く目を閉じて楽な姿勢で座っていた。
さちは、水を買ってくると達也に渡した。
「所長、最近痩せましたよね。どこか具合が悪いんじゃないんですか?もう、帰ってお医者さんに行きましょう」
「痩せたのはダイエットだから心配しないで……少し無理をしすぎたのかもハイペースでやってるから」
「1ヶ月で何キロ痩せたんですか?」
「5…いや、6キロかな…」
さちは、その答えを聞くと目を見開いて怒ったように言った。
「ペースが早すぎます!1ヶ月に1キロですよ!病気になっちゃいますよ!なんでそんな無茶なことをしたんですか⁈」
「背は頑張っても高くならない。でも、自分で何とかできる所は頑張ろうと思ったんだ。綺麗な太田さんの側にいても見劣りしない男になりたかった」
その言葉を聞いたさちは怒り出した。
「何よそれ!所長は勘違いしてる!私だって、大女だから彼氏がいたこともない。綺麗なんかじゃない!詐欺メイクなんだってば!」
さちはバッグの中からベビーオイルを出して顔の化粧を落とし始めた。ハンカチでゴシゴシ顔を拭いて達也の方を見た。
「ほら、お雛様みたいな地味な顔でしょ?」
達也はオイルでテカテカのさちの素顔を見た。
「うん。お雛様みたいに綺麗だよ。だから僕は頑張ろうと思ったんだ……おつきあいしてくれるかな……」
「何言っているですか。もうしているじゃないですか。毎日LINEしておいて、ただの部下だと言うつもりですか?私は、もっとデートがしたいんです。事務所以外でも会いたいんです。それだけです。変な無理はしないでください」
最後は心配そうに、さちが達也の手に触れた。
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