9、壁ドン

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「ホント残念な奴だよね。西田君は子供だよ。昔は私も子供だったから、西田君のことが好きだったよ。でも、私は大人になっちゃったんだ。西田君が本気で私を好きな訳じゃないって分かるようになっちゃった。それに今の私には彼氏がいるから」 「嘘。彼氏いるの?」 「うん。いる」 「なんか面白くねぇ。太田はずっと俺のことが好きって思ってたから……」 「どこから湧いてくるのよ。その自信は」 「お前さ、その一重の目でずっと俺を見ていただろ。その視線が昔から気になってた。後、何で誕生日でもないのにバースデーカードくれたの?」 今度は、さちの方がビックリした。「誕生日7月15日でしょ?」 「違うよ。5月15日」 「え〜っ!嘘!私が間違えてたってわけ?お母さんにも訊いたんだよ!分かったでしょ?単純なミスだよ。なんの思惑も策略もないよ」 「そっかぁ、彼氏いるのか……」 「10年遅かったね。縁がないんだよ。でもさ、元々西田君はマツが好きなんでしょ?マツを探しに行けばいいのに。本当に好きな人がいるのに他を当たっても最後は上手くいかなくなるよ。そんな気がする。今、マツがどうなっていようとも西田君が助けてあげるの。そしたら、マツも西田君のこと少しは好きになると思うよ」 「太田、余裕の発言だな。お前、昔からそんな性格だったっけ。大人しかったよな」 「性格は、多分昔から変わらない。でも言えるようになっただけだよ」
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