16、大きなハードル

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16、大きなハードル

 その日の夕方、さちが達也のデスクに近寄ってきた。 午後4時になると、達也はパソコンで法務省のHPを表示させた。さちは画面をじっと見ている。 「やりました。合格です」 さちは、達也の方を向いて満足気な微笑みを浮かべた。達也は小さな声で「これでやっと心置きなくデートができる」とさちに囁いた。  そう言いながらも達也には、また大きなハードルが前にあった。さちは驚くだろうか。達也は彼女いない歴=年齢だった。 今はさちが彼女だ。  大きなハードル。それは、セックスというものを達也はしたことがない。 所謂、風俗というところにさえ行ったことが無い。お金で女性を買うのに大きな抵抗があった。でも、今となっては経験しておけば良かったと思う。今からでも間に合うとは思うものの、彼女がいる身でソレをするのは不誠実だと思ってしまう。  もっと、恐ろしい想像までしてしまう。 さちが、経験豊富だったら、どうしようということだ。  この件に関しては、男が主体にならないとダメだろう!それも15も年上なんだから! 仕方なくパソコンで知識を蓄える。無修正のAVを見て学習をしている。性的欲求のためにAVを見ているのではない。学習だ。  二十歳に満たない小僧だってしていることが自分には未知の世界だ。超初心者だ。  今年の初めまではそんな自分に疑問を持っていなかった。人生の価値観は人間(ひと)それそれだと息巻いていた。
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