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麻理ちゃんの黒い髪の毛とスッピンを見たのは小学校の卒業式以来だなと、さちは感心してしまった。
さちの母と西田のおばさんと麻理ちゃんは、たくさんの食材を買い込んできた。
そして何故か3人で、さちの家の台所で手分けして食材の調理を始めた。
「私も手伝う?」とさちが言うと母が「お前は役に立たない!」と言い、さちはキッチンから追い出された。
「ね〜今日は何なの?」とさちが剛史に訊いた。
「お祝いだってさ。俺と麻理は入籍だけだから。俺の母ちゃん、意気地がなくって麻理と2人だと緊張するみたい。で、さちの母ちゃんを仲間に引き摺り込んだってわけ」
何だか良く分からないけど、楽しいお祝いの夕食になった。
麻理は、結構有名な悪い子だったのが今は面影もない。小学生の時、さちと遊んでいた麻理ちゃんに戻っていた。それでも、剛史の母はビビっているらしい。
麻理は膝で眠る小さな息子の頭を撫でていたので、さちは側によって話しかけた。
「麻理ちゃん。良いお母さんだって西田君に聞いたよ」
「私も剛史から、さちの小さいオジサンの話聞いてる」
「何なの!西田君って本当に失礼ね!他人の彼氏のことを!」
「人は見た目じゃないもん。それが分かるのにどうして時間がかかるんだろう……」
麻理がポロポロ涙をこぼし始めたのを見て、さちは西田剛史のことを説明した。
「西田君は、ずっと麻理ちゃんが好きだったんだよ。西田君は西田君なりに覚悟を決めて麻理ちゃんと一緒に生きていく決心をしたんだ。だから、麻理ちゃんも誠実に応えてあげてね。それだけで幸せになれるんじゃないかな」
「さちの分際で偉そうじゃねぇか?」麻理が少し凄んだ。
「それはもうやめなよね。商社マンの奥様の態度じゃないよ。西田君のお母さんも少し怖がってるって。あはは。。。」
さちが大笑いするので麻理も一緒になって笑った。
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