13人が本棚に入れています
本棚に追加
ライブの時は大声出してはしゃいでいるのに、みなみを目の前にすると4人とも言葉が少なくなってしまう。
その中でも一番気さくなイッチが中心になって他の3人にも会話に加わるように話し出した。
「みなみちゃん。お疲れ様。いつも俺らに元気をありがとう」
「みなさん、いつも私の応援に来てくれてありがとう。本当に感謝してる」
みなみが嘘偽りない微笑みで言って頭を下げると、イッチが慌てて否定する。
「俺らは、みなみちゃんが居てくれるから、普段も頑張ってる。みなみちゃんも頑張って!こいつなんかさー、いつも、みなみちゃんの写真をスマホで眺めて頑張ってる」
イッチは、そう言いながら達也を前に押し出す。達也は仕方なくスマホを出して、みなみの前で写真をスクロールする。
達也のアルバムを一緒に見ていたみなみが声を上げた。
「あ!この女の子、知ってる!モデルでしょ?」みなみが指を指したのは事務所で飲み会をした時のさちを撮った写真だった。
「この人、モデルなの?仕事仲間だよ」
「ほんの少し同じ事務所にいたの。モデルは直ぐに廃めた。将来有望って言われてたよ。名前は『Sachi』って言ってたかな。テンプレの可愛い人じゃなくて、年齢よりずっと大人びていた」
本当は、さちの方が事務所の後輩で自分の方が先輩だったとは、みなみは言わなかった。
最初のコメントを投稿しよう!