20、デイキャンプ

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20、デイキャンプ

「女ってホント怖いっすよね。亭主を使い倒しやがる」剛史は、3歳の長女を抱いて達也に話しかける。剛史の側には7歳の長男もいる。 「男は座布団でいいんだよ。それが一番の家庭の平和だ」達也も3歳の長男を抱っこして答える。  今日は、高原のキャンプ場に剛史家族と達也家族でやってきた。  達也とさちは結婚して4年経った。  少し離れたところで1歳の長女を背負った3人目がお腹にいるさちと剛史の妻、麻理が笑ってお喋りしている。  麻理が2人の男を見ると叫んだ 「テメェら!さっさとタープ張れや!ガキはこっちに寄越しな!」 「すごいねぇ。剛史くん。いつもああやって怒鳴られてるの?」 「普段は大分普通になったんですけどね、さちと会うと子供がえりしちゃうみたいっす」 剛史と達也は、子供をそれぞれ妻に渡すと、大きなタープを広げて設営を始めた。  もう少ししたら、元オシカツ仲間も家族を連れて到着する。  仕事があって、家族がいて、女房の尻に敷かれて、これが幸せだと思うかと訊かれたら、達也は惑うことなく答えられる。 これが幸せでなければ、何が幸せなんですか? 少し暑い、夏の始まりだ。 〜相合傘〜完。
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