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猫魚との日々をSNSで投稿しているうちに、少しずつフォローしてくれる人が増えていた。実際に見てみたいと言ってくる人もいたけれど、さすがに怖くて断った。
僕だけの猫魚。最初の頃は抵抗があったけれど、今は愛着が湧いていた。それに猫魚も僕に懐いているのか、頭を撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らした。
子供の頃に飼っていた猫を思い出し、何だか懐かしいような切ない気持ちにもなった。
時々、窓の外から景色を見せると猫魚は外の空気が気持ちいいのか目を細めて見つめていた。その様子をSNSにアップする。
この可愛さを自分一人だけ占領するのは、惜しい気がしたからだ。
それから一ヶ月が経ち、猫魚との生活も慣れてきていた。
今では浴室で飼っていたのを部屋に移し、ベッド横のテーブルに洗面器を置いている。朝の早い時間から餌の催促で「にゃーにゃー」と声をあげるのは困るが、最近では早く起きるようにして、餌をあげるようにしたら鳴かなくなっていた。
基本的には大人しいようで、隣人からクレームは一度も無い。寝食を共に出来るのは癒やしでもあり、今までのありきたりな日々が一変したのは事実だった。
SNSでも僕は少しだけ有名になっていた。真偽の程は謎であっても、嘘にしてはクオリティが高いということで注目されているようだった。動物実験だの薬害による新種の生物だのと、陰謀論的な言動をする人も中にはいたけれど、そんなことはどうでもいい。事実、僕の目の前には猫魚がいる。夢でも幻でもなく。
猫魚の頭に触れる。ゴロゴロと喉を鳴らし、頭を擦り付けてくる。それだけで僕の心は満たされるのだから。
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