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「な…ぬっ……うごはぁあああぁっ!」
いや、それだけではない。間髪入れずに一本背負いの要領で、思いっきり老易者を地面に叩きつけたのである。
「……そ、そんな……バカ……な……」
「確かに〝力〟と同系の魔術ではあるが、神仏という太古の昔から心に刷り込まれたイメージにより、集合的無意識にまで働きかける〝神人合一〟とでは深化のレベルが違う」
口から血の泡を吐き、身体をピクピクと痙攣させて横たわる老易者に、冷たく冷徹な声で黒マントは語る。
「それに俺は幼い頃より格闘術を仕込まれ、また実戦にも慣れている……加えて俺の場合、そうした因果は通常よりも明確に作用する……俺の獲得した世界観は〝因果応報〟。俺もエリハ同様、最上位のカテゴリー〝世界〟に到達した魔法博士だからな」
「か、カテゴリー〝世界〟? ……なるほど……ならば、歯が立たぬのも道理……か……」
カテゴリー〝世界〟……やっぱりなんのことなのかさっぱりだが、その言葉に一瞬、驚いたように目を見開いた後、老易者は白眼を剥いてそのまま気を失ってしまった。
「………………」
「……ん? ああ。この町で起きてる連続通り魔事件に魔術師の介在を感じてな。それで調べていたところ、今夜、ようやく犯人を見つけられたというわけだ。あんたも危ないところだったな」
あまりの急展開に立ち尽くしたままでいたわたしに気づき、こちらを振り向いた黒マントがなんか平然と事情を説明し出す。
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