そのキスは魅惑の香り

お気に入りの彼

　一目見て、彼の事が気に入った。

　どう見ても私より年下だ。だけど。すごく魅力的な彼を私はどうしても無視できなかった。

　きっと年上の私なんか相手にされない。そんなの最初からわかってる…。

　私の営む歯科クリニックの入るテナントビルはその下の一階がお洒落な居酒屋さん。

　お昼時になるとお客さんで入り口は長蛇の列になる。

　メインのパスタ類やハンバーグに日替わりランチ、毎日通っても飽きない。　

　味も最高だし、黒を基調としたお洒落なお店の雰囲気もいい。

　だけどそれだけが理由じゃない。
　私が最近、頻繁に下の階の居酒屋さんでランチをするようになったのは。

　私のお目当てのこのイケメン君がいたから。

　人懐っこい眼差しで、人を惹き付けるような愛くるしい笑顔。
　そしてちょっと生意気そうな雰囲気。

　だからつい、話しかけたくなる…。