夏の異能研究

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 翌日、私は電車で学校に向かっていた。今後の日程をアプリで確認する。  8月1日の朝、学校に集合。そのままバスに乗って合宿所へ向かう。8月7日の午前中に終了。  そして合宿までに、アプリもしくは手渡しで宿題を提出しないといけない。終わってない人は……肝試しの時間にやらされるそうだ。  そして教師の他に、プロの異能師が同行するんだけど……私はニュースサイトを開く。 【異能師・プロテクコール パワハラで訴訟。  プロテクコール、同僚の男性異能師に『調子に乗るな』『学生時代陰キャだったくせに』と1年以上に及び暴言を吐いていた。  男性は『ずっと我慢してきたが、異能師として許容できない』と取材に答えている】  プロテクコールの写真も掲載してある。嫌な顔をした男の異能師だ。このニュースで初めて知ったくらい、知名度も人気も実力もない。  なんとこのプロテクコールが同行する予定だったのだ。もちろん連れて行かないだろうけど、でも嫌な気持ちになる。  だって私も陰キャだからね。そんなことで人生決まるわけないでしょ。市民を守る立場のくせに、人を傷つけるなんてあり得ない。  ……合宿か。いかにも陽キャなイベントだ。でも今はたくさんの友達がいるから、きっと楽しめると思う。  肝試し、恋バナ、花火にカレー作り。カリキュラムは過酷だけど、きっと面白いに違いない。  ……よね?
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