夏の異能研究

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 国立晴明高校、東京にある日本一有名な高校だ。中でも異能バトル科はかなり人気がある。  設備も大きいし校門も立派。そして校門付近に見知った男子が。  金髪に染めたツンツン頭、俳優みたいに整った顔立ち。  加賀正志(かがまさし)は同じ道を歩む男友達だ。最初は陽キャぶりにビビってたけど、今はすっかり仲良し。 「お待たせ〜! 群馬から来るの疲れたでしょ」 「今日中に寮入っといた方が、明日楽だしな。池亀は明日直接来んのか?」 「うん。でも宿題終わりそうでよかった。いつも溜め込んでやばいことになってたし」  それに見せてもらう友達だっていなかったしね。 「それなー。俺もガキの頃はよく詰んでたわ」 「文部科学省を脅したら宿題ゼロになるかな?」 「犯罪予告すんなや! つーか異能バトル科は異能対策省の管轄だろ」 「じゃあそっちを脅そう!」 「どっちにしろ犯罪だろうが! てめえは市民と治安を守る気あんのか!」  んで、レポートのことだけどよ……と加賀はメインの話題を。 「毒属性同士だと、毒効かねえから詰むだろ。課題はそれだな」  指先から毒牙を発射する異能は、撃たれたらジ・エンド。でもそれが効かないと武器が何もない。 「ネット炎上させたら、宿題減るかなあ。生徒を追い詰める悪の課題! みたいな感じで」 「どんだけやりたくねえんだよ! 昔の俺よりひどいわ!」  私たちは言い合いしながら、寮へ向かった。
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