夏の異能研究

4/6
前へ
/78ページ
次へ
 ちなみに異能バトル科は全寮制。しかも1クラス1棟、1人1部屋の豪華仕様。  1年龍組寮へ向かうと、可愛い女の子が談話室にいた。 「レナだ! 加賀もいる!」    ピンクのボブヘアを揺らしながら、美少女が私に飛びつく。  この子は針ヶ谷鈴音(はりがやすずね)。  私が最初に友達になった、バトル大好きな女の子。全身をタングステンという丈夫な金属に変えられる。  強みはとにかく丈夫なところ。 「あたしはタングステンに変身して一人鬼ごっこしてる! 持続時間伸ばさないといけないし」  かなりユニーク。でも一人鬼ごっこって? 「ネットで見た降霊術だよ。まずぬいぐるみのお腹に赤い石を入れるの。次は盛り塩を置いた部屋に隠れて……」 「怖いよ!」  鈴音はとにかく元気。私もコピー異能に目をつけられ、追いかけ回されたことあった。  さすが肝が据わってる……嘘でしょ。  談話室の隅っこに盛り塩が。鈴音はTシャツをめくり、銀色のお腹を披露。 「服で隠れてるところだけタングステンにする練習中!」  まさか儀式は継続中ってこと!? すると物音が女子寮の階段から……。  クマのぬいぐるみが、階段の一番下に落ちていた。 「「ウワーーーーーーーー!」」  私と加賀は叫ぶ。すると鈴音はぬいぐるみを拾い、お腹を破いて赤い石を取り出した。 「私の勝ち!」  すると盛り塩が崩れ、冷たい何かがドアから逃げていく……ような気がした。 「祟られたらてめえのせいだ!」    キレる加賀。すると寮のドアから声が。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加