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「あれ、池亀と加賀じゃん。久しぶりだな! なんか涼しかったけど」
またまた懐かしい声が。背の高い男子が寮にやってきた。穂村ソロモンだ。
細かい三つ編みをまとめてポニーテールにした、褐色肌のイケメン。穏やかで話しやすいし、男子が苦手だった私もすぐ仲良くなれた。
「寮は落ち着くわ。受験生いるから肩身狭いんだよな。しかも双子だし」
「リヤちゃんとラファエルくん? 晴明高校受けるんだっけ」
「プリン買ってきてだの朝起こしてだの……そうだ、レポートだけどさ。
俺の課題は危険なことだな」
穂村は炎属性、華やかで強力な異能だけど、デメリットも大きい。
「あと池亀、宮沢賢治のことありがとな。昔読んでたの懐かしいわ」
グループチャットに投稿したっけ。読書感想文は宮沢賢治がおすすめだよって。
「何書いたの?」
「よだかの星。命の尊さについて……」
ブーンと羽音をたて、ドアから蜂が入ってきた。
「ぎゃー! 池亀なんとかしてえええええ!」
叫んで私の後ろに隠れる穂村。
「命の尊さは!? しょうがないな!」
私は蜂を誘導して外に出してあげた。
「つーか銀河鉄道のザネリムカつかね?」と加賀。
「気のいい火山弾もね! ベゴからかってた石割りたい」と鈴音。
「それな! よだかいじめてる鷹も焼き鳥でいいだろ」と穂村。
「宮沢賢治が泣くよ!」
そんなみんなを尻目に、私はレポートについて考えた。
「……ノイズ先生にも聞いてみようかな」
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